Happy Birthday SAGA & KANON
「カノン、起きなさい。カノン!」
名を呼ばれながら身体を軽く揺すられ、カノンは目を覚ました。
「ん?……何?」
寝ぼけ眼を擦り擦り時計を見ると、時刻は朝8時を少し回ったところだった。
10時まで寝ているつもりだったカノンにとっては、丸2時間近く早くに起こされたことになる。
カノンの機嫌が一気に最低レベルにまで落ち込んだが、機嫌が悪くなった勢いで文句を言うとサガの機嫌も悪くなって喧嘩になるので、言いたい気持ちをぐっと押し込み、
「朝飯ならいらない。今日は休みなんだからゆっくり寝かせてくれよ……オレ、10時まで寝るって決めてんだからさ」
それでも不機嫌丸出しの口調でそう言って、カノンは頭までブランケットをかぶった。
「ダメだ。いくら休みとは言っても、ミロと約束をしているのだろう。約束の時間までにきちんと出かける準備を整えておきなさい」
「だからそれは大丈夫だって言ってんだろ。約束してるったって早くて昼だぜ? 10時に起きたって余裕だよ、大丈……」
「いいからさっさと起きろ!」
カノンの言葉を遮り、サガはこれ以上は問答無用とばかりに容赦なくブランケットを引っぱがすと同時に、カノンの上体を引っ張って文字通り叩き起こした。
無理矢理起こされたカノンは不機嫌大全開の恨みがましい目でサガを睨みつけたが、サガは全く気にする様子もなく、
「朝食はもう出来ている。顔を洗ってすぐにダイニングに来なさい。いいな」
一方的にそう言い置いて、さっさと部屋を出て行ってしまった。
「自分が昨夜から超ご機嫌だからって、そのペースにオレまで巻き込むんじゃねえよ。っとに自分勝手なんだから……」
強制的に起こされたベッドの上で胡座をかいて座り、カノンは一人ぶつぶつと文句を垂れたが、だからと言って直接サガにその文句をぶつけることはやっぱり出来なかった。
色々な意味で、後々厄介なことになりかねないからである。
カノンは大きく深い溜息を吐き出し、渋々ベッドからおりた。
とりあえずサガの言うことを大人しく聞いて洗面を済ませたカノンは、朝食をとるべくダイニングへ向かった。
その途中のリビングに足を踏み入れた直後、突然双児宮の私室の玄関が慌ただしく開閉する音が耳に届き、カノンは昨夜のことを思い出して無意識のうちに顔をしかめた。
深夜に騒がしく押し掛けて来たと思ったら、今度は朝っぱらからかよ、いい加減にしろよな――と心底うんざりしながら顔を上げると、その音を聞きつけたらしいサガもダイニングからリビングの方へ出て来ていた。
この時カノンはまたしてもアイオロスが騒がしく訪問して来たのだと信じて疑っておらず、サガも来訪者がアイオロスだと思ってリビングの方に出て来たものと思っていたのだが、そのカノンの予想に反してリビングに飛び込んで来たのは、何と聖衣を纏ったままのミロであった。
「ミロ!?」
アイオロスだとばかり思い込んでいたところに自分の恋人が姿を現し、さすがに驚いてカノンが素っ頓狂な声でミロの名を呼ぶ。
ミロはカノンの姿を見つけるなり破顔し、一目散にカノンに駆け寄るとその勢いのままカノンを抱き締めていきなりその唇を塞いだ。
昨夜のサガ同様、カノンの瞳が驚愕に大きく見開かれ、昨夜のカノン同様、サガの目がまん丸くなる。カノンは抱き締められたミロの腕の中で硬直し、サガはその場に突っ立ったまま呆然と二人を見つめることになったが、その光景はまるで昨夜の出来事がサガのカノンの立場を逆転して再現されたかのようであった。
「誕生日おめでとう!」
数秒後、カノンの唇を解放したミロが満面の笑みでカノンに祝いの言葉を告げた。
「……あ、ありがと……」
時間が逆行したのかと錯覚するほどの既視感に若干の目眩を覚えつつ、カノンがミロに礼を言うと、ミロは本当に嬉しそうに笑みを深めて再びカノンを抱き締める。
「やっと言えたぁぁーーー! 一刻も早く、いや、本当は誰よりも早くカノンにおめでとうって言いたかったんだ、オレ。出来ることなら日付が変わると同時に言いたかったんだけど、仕事で無理だったからさ」
実を言うと仕事を抜け出して来ようかとまでミロは考えでいたのだが、さすがにそこまでやったら逆にカノンの機嫌を損ねる恐れがあるかも知れないと、何とか思いとどまったのである。
「だから仕事終わってから大急ぎで来たんだ。一分でも一秒でも早くって思って、それで……」
「まさかと思うがお前、教皇宮からまっすぐここへ来たのか!?」
聖衣を纏ったままということはその可能性が極めて高いが、一応念の為にカノンが確認を求めて聞き返すと、
「うん」
ミロはあっさりとそれを肯定し、カノンの肩口で頷いた。
「自分の宮を素通りして!?」
「そうだよ」
ミロが守護する天蠍宮は、教皇宮と双児宮のちょうど中間点にある。言わずもがな、教皇宮から双児宮まで降りて来る間に、ミロは嫌でも自分の宮を通らなければならない。
反対側だというならまだ話はわかるのだが、通り道にありながら素通りして来る意味がわからないと、カノンは半ば以上本気でミロの行動に首を捻った。
「言っただろ、一分でも一秒でも早くカノンにおめでとうが言いたかったんだって。ウチに寄ってる時間すら惜しかったんだよ」
カノンの微妙な様子を感じ取ったのか、ミロが身体を少し離してカノンの顔を覗き込みながら言った。
「いくら一分一秒が惜しいって言ったってさぁ……」
せめて着替えくらいしてから来いよ、とカノンは続けようとしたが、それより先に再度ミロが口を開き、
「だって、早くしないとアイオロスに先越されちゃうって思って!」
「は?」
それを聞いて、カノンがまたしても素っ頓狂な声を上げる。
「だーかーらー、モタモタしてたらアイオロスに先を越されちゃうだろ! サガは一緒に住んでる家族だから先越されても仕方ないけど、でもアイオロスにまで先越されたら悔しいじゃん。だから……」
カノンはまたしても強い既視感に襲われ、溜息混じりの苦笑いを零した。
こいつといいアイオロスといい、何をわけのわからないことで張り合ってるんだと思わずにいられなかったからである。
反面、アイオロスの時にはただひたすら呆れてバカにしていたにも拘らず、同じことをしでかしているミロについては『そんなところが可愛い』とほんの少しだけ思ってしまっている自分に気付き、カノンはますます苦笑を強めた。
もちろんそれは恋人の贔屓目があるがゆえだということも、わかってはいたが。
「残念だがミロ、アイオロスにはとっくに先を越されているぞ」
ちょっと困ったような顔をしているサガを横目に捉えつつ、カノンが少し意地の悪い口調でミロに言った。
「えっ!? アイオロスもう来ちゃってたの!? っていつ? いつ来たの? 朝の5時とか6時とか、超迷惑な時間!?」
思いっきり先を越されていることを聞かされたミロが、驚きと落胆に表情を二分させながら矢継ぎ早にカノンに尋ねる。
「超迷惑な時間であることに間違いはなかったが、早朝じゃなく深夜だ。アイオロスの奴も昨夜日付が変わる直前に今のお前みたいにウチにすっ飛びこんで来てな、入って来るが早いかご丁寧にカウントダウンを始めて、で、日付が変わったと同時にサガに……なっ?」
そう言ってカノンは、サガに同意を求めた。
ミロがサガの方を振り返ると、サガは表情の選択に困ったような複雑な面持ちで、無言で頷いてみせた。
「でまぁ、そのついでにオレにも……ね」
額にとは言えキスされたことまではさすがにカノンも言わなかったが、それを聞いたミロの表情が一気に落胆の色一色に染まり、
「あー……もしかしたらとは思ってたけど、やっぱアイオロスも同じこと考えてたのかぁ……」
ぼやくように言いながら、ミロが小さく肩を落とした。
同じこと考えてただけじゃなく、やってることもほぼ同じなんだよな……とは思ったものの、思うだけに止めてカノンは口に出しては何も言わなかった。
「仕事さえなければなぁ……アイオロスに負けなかったのになぁ……」
更にしょんぼりとそうぼやいて、ミロが溜息をついた。
つまり、もしミロが昨夜仕事でなければ、アイオロスだけではなくミロもほぼ同じ時間にここに飛び込んで来たに違いない。そしてきっと、揃って同じことをやらかしていただろう。
そんなカオスな状況にならなくてよかった……と、この時カノンとサガは心の中で同じことを考えながら安堵の溜息を零していた。
「こんな下らないことで張り合ってもしょうがないだろ。それにアイオロスに先を越されたって言っても、元々あいつの眼中にも頭の中にもサガのことしか入ってないんだから、オレのことはついでっていうかオマケみたいなもんなんだ。先を越されたも何もあったもんじゃねえよ」
別にアイオロスはカノンのことをオマケと思っていたわけではないはずなので、恋人の名誉の為にサガとしても意を唱えたかったところだが、普段は少々空気を読むのが下手なところがあるサガもここは的確に空気を読んで沈黙し、二人の様子をじっと見守っていた。
「だから『オレの為』に駆けつけてくれたのは、実質お前が最初ってことだ」
そう言いながらカノンがミロの頭を撫でてやると、しょんぼりしていたミロの表情が一気に明るくなり、嬉しそうな笑顔に変わる。
そんなミロを見ているカノンの口元が自然に綻び、そしてその二人の様子を見ていたサガの口元も綻んだ。
「本当におめでとう、カノン」
そしてミロはもう一度カノンにお祝いの言葉を告げると、今度はカノンの唇に触れるだけの軽いキスをし、その唇が離れるなり突然踵を返して今度はサガの方へと駆け寄った。
そのままの勢いで飛びつくようにサガに抱きついたミロは、
「サガも誕生日おめでとう!」
サガにも祝福の言葉を贈り、そしてその頬にキスをしたのだった。
完璧に不意打ちを食らった形になったサガはまたしても驚いて目を丸めたが、
「ありがとう」
すぐに気を取り直すと優しい笑顔でミロに礼を言い、軽くミロを抱き返しながらその柔らかな髪を撫でた。
そしてその様子を見ていたカノンは、三たび強烈な既視感に襲われて表情を引き攣らせていた。
最後の対応こそサガと自分で著しく違うが、ミロの行動は最初から最後まで昨夜のアイオロスの行動を準えたかのようにそっくりだったからである。
ミロはサガに髪を撫でられ嬉しそうにしていたが、程なくしてサガから離れるとカノンの方に向き直り、
「それじゃ、オレ帰る。また後で迎えに来るからね、カノン」
「は!?」
来た時同様の唐突な帰る宣言に、カノンとサガは見事に間の抜けた声をハモらせた。
「ちょっと待て、ミロ。お前帰るって……どこに?」
「天蠍宮に決まってるだろ。ってか、他に帰るとこなんてないじゃん」
カノンに問われたミロは、そんなこと聞くまでもないだろうと言わんがばかりの口調で答えて、小首を傾げる。
「たった今素通りして来たばかりなのに、もう帰るってのかよ?」
「うん」
「何で?」
「何でって、聖衣着たまま来ちゃったから、一回ウチ帰って風呂入って飯食って着替えて来ないとさ。こんな格好で聖域の外に出るわけにはいかないからな」
ミロの返答を聞いたカノンはこれ以上ないと言うほど呆れ果て、大きく溜息をついてからミロに言った。
「あのなお前、ほぼとんぼ返りするくらいなら何で天蠍宮素通りして来たんだよ? 意味ないっつーか、バカらしいっつーか、時間の無駄使いっつーか……それなら最初から自分家で身支度整えてから来りゃよかったろうが」
「だからオレも最初に言っただろ、一分一秒が惜しかったんだって!」
その気持ち自体は嬉しいのだが、その結果がこの少々間の抜けた有様なわけで――とは思ったものの、これ以上言っても恐らくは堂々巡りになるだけだろう。
それと察したカノンは何となく釈然としない思いを残しつつも、今日のところはミロのその気持ちと意気込みをありがたく受け取ることにして、それ以上は何も言わないことにした。
「ここまで降りて来たんだから、わざわざ戻らなくてもいいだろ。風呂ならウチで入れ。朝飯もウチで食え、サガが作ってくれっから」
なっ? とカノンが同意を求めると、サガは快く頷いた。
「ああ、あと着替えも貸してやる。オレの服着られるだろ、お前」
カノンの方がミロよりも3cmほど背が高いだけで、体型はほぼ同じである。
従って服のサイズ的には全く問題はない。と言うより、既に何度か互いの服を借りたことがあるので、問題なく着られることは実証済であった。
「いや、その方がオレも楽ではあるけど、さすがによその宮に聖衣置きっぱには出来ないし……」
いくら恋人の宮とは言え、黄金聖衣を自宮以外の場所に長時間置いておくわけにもいかない。もし教皇シオンにバレでもしたら、それこそ大目玉だからである。
「だからとりあえず一回ウチ帰るよ、それじゃね」
バレなきゃ大丈夫かな? とも一瞬考えたミロだったが、やはりそれはマズかろうと思い直し、面倒だが当初の予定通り一度自宮に戻ってきちんと聖衣を外して来ることを選んだ。
確かに『よその宮に聖衣置きっぱには出来ない』というミロの言い分は正しく、というより当たり前のことなので、こればかりはカノンもサガも無理強いは出来なかった。
「ミロ!」
ミロが踵を返しリビングの出入口に向かいかけた時、今度はサガがミロを呼び止めた。
「何?」
「とりあえず着替えだけして来なさい。その間に朝食と風呂の用意をしておくから、ここに来て済ませるといい」
「えっ? いいの?」
サガに聞き返しながら、ミロがサガとカノンを交互に見遣る。
二人が同時に頷いたのを確認すると、ミロは嬉しそうに表情を閃かせ大きく頷き返した。
「ああ、そうだ、戻って来るときついでにアイオロスも連れて来い。テレパシー送っとけば、お前が着替え終わる頃にあいつが天蠍宮まで降りて来るだろうから」
ここで予想だにしなかった意外なことをカノンが言い出し、サガもミロも虚をつかれたように目を丸めてカノンを見返したが、
「わかった。帰りがけにアイオロスにテレパシー送っとく。じゃ、すぐに着替えて来るね」
ま、いいかとすぐに気を取り直したミロはそれを快諾すると、来た時とほぼ同じ速度と勢いで双児宮を飛び出して行った。
「……どういう風の吹き回しだ? お前の方からアイオロスを連れて来い、なんて言い出すなんて」
ミロが双児宮を出て行った後、サガが微苦笑しながらカノンに問いかけた。
普段であればカノンの方から『アイオロスを呼んで来い』などと言うことは皆無に等しいため、さすがにサガも不審に思わずにはおれなかったからである。
「うん? いやだって、何か当事者のオレ達よりあいつらの方が揃って変に張り切ってるっていうか盛り上がってるっていうか、明後日の方向に気合い入ってるからさ。普段だったらアイオロスも何とも思ないだろうが、今日に限ってはちょっと事情が違うみたいだからな。ミロにだけ朝飯なんか食わせてみろ、そのことが後でアイオロスに知れたらあいつ間違いなく拗ねるぞ。ミロがアイオロスに先越された! って拗ねたのと同じようにな。そしたらサガだって面倒臭いだろ、色々と。だから先手を打ったってワケ」
「……なるほど」
その程度のことで拗ねるほどアイオロスは子供じゃない、と反論したいところだが、アイオロスの場合残念ながらその可能性が大いにあることはサガとしても認めざるを得ず、納得しつつ苦笑を深めることしか出来なかった。
「それにしてもあの二人、昨夜と今朝の時間差でほぼ全く同じ行動取りやがったな。行動原理も同じ、最初から最後までバカみたいに騒がしいところも同じ、兄弟かよって思いたくなるほど何から何までそっくり。再現VTRでも見てるような気分になったぜ」
はーやれやれと言わんがばかりに肩をすくめたカノンだったが、満更でもないどころかかなり上機嫌になっていることはサガにも簡単に見て取れた。
同時に、恐らくは昨夜の自分と同じような気持ちでいるのであろうことも容易に察しがついた。
「あ、そうだ、サガもしかしてミロが仕事帰りに押し掛けて来るって知ってた? それでオレのことを叩き起こしたの?」
それはそれとして、サガが自分を叩き起こしてからミロが飛び込んで来るまでのタイミングが見事に合っていることに今更ながらに気付き、カノンは改めてそれをサガに問い質してみた。
ミロが仕事帰りに直接ここに来ることサガが予め知っていたか、或いは直前に連絡を受けていたのなら、サガがあんな風に問答無用で自分を叩き起こしたことにも説明がつくからである。
だがサガは首を横に振り、
「知っていたわけではないが、何となくそんな気がしたのでな。その予感が外れたところで害があるわけではないから、起こすだけは起こしておこうと思っただけなんだが、結果的には正解だったようだな。最もまさかあんなに上手いタイミングでミロが来るとは思わなかったし、昨夜のアイオロスとほぼ同じ行動をとるとまでは思ってなかったが……」
正確に言えば昨夜のアイオロスの逆パターンではあるが、カノンの言うように基本は同じである。
ここで堪らずにサガは吹き出し、くすくすと声を立てて笑い始めた。
「さすがに育ての親……ミロの行動はお見通しってワケですか?」
そんなサガを見ながらからかい混じりにカノンが言うと、
「そんな大袈裟なものじゃない」
軽く流すように答えて、サガはそのまま踵を返した。
「あれ? どこ行くのサガ?」
「私とお前の分しか朝食の支度をしていないんだ。あと二人分、急いで作らないとな」
成り行きとはいえ、思いもかけず二人も増えることになったのである。
双児宮から天蠍宮までそれなりに距離はあるが、黄金聖闘士のミロがその気になればそれこそあっという間に着替えて戻って来てしまうことだろう。アイオロスとて然りである。
急がないと彼らが来た時にまだ朝食が出来ていないと言うことにもなりかねないと、サガは少々慌て気味にキッチンに戻ろうとしたが、そんなサガをカノンが再び呼び止めた。
「あ、サガ、もう一つ忘れてたことがあるんだけど」
「うん? 何だ?」
短く聞き返しながらサガがカノンを振り返ると、カノンはサガに向かって微笑みを返し、
「誕生日おめでとう」
不意にサガに、祝いの言葉を贈ったのだった。
サガは三たび目を丸くしたが、言われてみれば当事者の自分達はまだお互いにその一言を言っていなかったことにサガも今更ながらに気がついた。
アイオロスはカノンに、ミロは自分に『先を越される』ことを気にしていたようだが、先を越すどころか当の本人達は逆に二人のおかげですっかりとそれを忘れていたのである。
カノンに言われてようやくそのことを思い出し、サガは間の抜けた自分への自虐も含めた笑いを零してから、
「ありがとう。そしてお前も……誕生日おめでとう」
改めて弟に向き直り、礼と祝福の言葉を贈り返した。
post script
サガ&カノン、誕生日おめでとう!
時間差でまったく同じ行動をとるアイオロスとミロが書きたくて思いついた話です。
27歳のアイオロスと20歳のミロが同レベルってどうよ? と思わないでもありませんでしたが、一応本人達は真剣に互いの恋人を思うがゆえにとった行動なのです(笑)。
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