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オレははっきり言って寝起きは良くない。
良くないと言うより、相当に悪い方だと思う。それは自分でも自覚してる。 それはほんの子供の頃、まだ黄金聖闘士の候補生だったころからずっとそうで、面倒を見てくれていたサガもアイオロスも、一番起こすのに苦労する子供がオレだったと口を揃えて証言しているくらいだ。 今でも仕事のある日の朝はいつも目覚ましとの大格闘で、我が事ながらその惨状たるや相当のものだと思っている。 ここまで寝起きの悪い奴もそうそうはいないだろうと、我が事ながら変な自信を持っていたオレだったが、何事においても世の中上には上というものが存在するのである。 この世に生を受けて20年、オレは生まれて初めてオレより寝起きの悪い奴と出会った。 それが今、オレの隣で寝ているカノンである。 最初に言ったけど、オレも自分の寝起きは相当悪いと思っていた。が、カノンには負ける、絶対負ける。 オレが絶対の自信をもってそう言い切れるくらいに、カノンの寝起きは超絶に悪かった。 え?、自己判定なんてアテにならない?。 大丈夫、これについてはカノンの実兄のサガにも確認してもらって、同じ判定もらってるから。 とにかくハンパじゃないんだから、マジで。 カノンは一言で言うとオレの恋人なわけで、ちょっと惚気させてもらえばオレはこのカノンに何て言うかその、ベタボレ状態ってやつなんだけど、そのオレですらカノンのあまりの寝起きの悪さには閉口したもんな。 今ではさすがに慣れたけど、最初の頃はそりゃもう大変なんてもんじゃなかったんだよね。何度それで喧々囂々の大喧嘩をしたことかわからないくらいだ。 と言ってもまぁ、オレがカノンと一緒に朝を迎えるのは大体多くて週の半分くらいだし、翌日仕事が早番なんて時にはカノンはまずウチには泊まらないから、オレ自身がカノンを起こすのに苦労するってことは最近ではほとんどないんだけど。 とりあえず気の済むまで寝さえすればそのうち自分で起きてくるので、オレは余程のことがない限りは寝ているカノンを起こしたりはしない。その方が平和だし、余計な喧嘩もしなくて済むからだ。 寝起きがいい悪いっていうのはある程度生れ持ったものだとオレは信じて疑っていないけど、カノンの場合はそれだけじゃなく、今までの生活態度と環境の方にも大きく問題があったせいもあって、それに拍車がかかってしまったんだと思う。 強制的に存在を隠匿されるという不遇な幼少〜少年時代を経て捻くれちゃった後に、海底にこもって13年もお山の大将をしてきたんだから無理もない。ギャーギャーうるさく意見するやつなんか、いるわけもなかっただろうし。 なので一概には責められない部分もあるんだが、どっちみち今更カノンのこの寝起きの悪さを矯正するのは不可能と言っても過言じゃないだろう。だって20歳のオレですら多分無理なんだから、28歳にもなってるカノンの場合はほぼ絶望的だと思う。 諦めたらそこで試合終了だよ、と言われてしまいそうだが、この件についてはサガですら半ば諦めているフシがある。サガでダメなものをオレが何とか出来る道理もないので、これについては諦めるというか割り切るのが賢明ってやつだろう。 それにあながち悪いことばかりでもないのだ。 今の時刻は午前11時30分。もうそろそろ昼になろうという時間で、オレが起きたのもつい10分ほど前だ。 でもカノンはこうしてオレがベッドから身を起こした気配にすら全く気づくことなく、気持ちよさそうに軽い寝息を立てて眠っている。本人曰く、寝るときには気合いを入れて寝ているので、ちょっとやそっとのことでは起きないそうだ。説得力があるんだかないんだかよくわからないが、とにもかくにもこの程度のことではカノンは目を覚ましたりはしない。なので必然的に、カノンの寝顔見放題ということになる。 起きてても年相応には見えないカノンだけど、寝ていると表情の険が取れてるせいか尚更若く見える。寝顔だけ見ていたら、多分、オレと同い年と言っても充分通用するだろう。 最もオレ達は黄金聖闘士だから、18歳〜20歳くらいから見た目的には殆ど変わらなくなるんだけどな。個人差はあるらしいけど、結構いい年になるまでこの外見を維持できるらしい。経験者のジーさま達……もとい、長老2人がそう言っていた。 ただ外見は同じような年齢で若さを保ってても、何て言うかいわゆる人生経験ってやつで雰囲気に差が出てくるから、普通にしてるとやっぱりどう見てもオレの方が明らかに年下だってことが分かっちゃうらしいけど、今だったらオレの方が年上だと言っても信じてもらえるかも知れない。 寝てるんだから当たり前だけど、それほどカノンは無防備なんだ。 起きているカノンには『綺麗』という形容詞がピッタリ来るけど、寝ているカノンには『可愛い』という形容詞がピッタリ来るとオレは思ってる。前者はともかく、後者はカノン本人には口が裂けても言えないけどね。 そしてオレはそんなカノンの寝顔をこうやって見ているのが、大好きだったりする。 寝起きは悪くても寝つきのいいオレは、夜は大抵カノンより先に眠りに落ちてしまう。なので夜にカノンの寝顔を拝めることは、殆どない。 起きていようと思ってもあっという間に眠っちゃってて、気付いたらもう朝だったり昼だったりするんだけど、今度は逆にカノンがオレより先に起きるってことが殆どないため、こうして明るくなってから思う存分好きなだけカノンの寝顔を見ていることができるんだ。 そしてカノンの寝顔を見ていると、それだけで幸せな気分になれると言うか、癒されるっていうか……とにかく、オレにとってこの一時は正しく至福の時なんだ。 この時ばかりは気の済むまでカノンの顔を見ていられるから。起きてるときにあんまりじ〜っと顔を見てると、カノンは怒るからね。オレはカノンの綺麗な顔を、いつまでだって見ていたいのにさ。 オレがベッドに座って寝ているカノンを見下ろしていると、小さくカノンが身動いて軽く寝返りを打った。 一瞬起きたのかと思ったが、そうではないらしい。一分ほどつい息を詰めてその様子を見守ってしまったが、カノンの目は瞑られたまま開く気配を全く見せず、静かな規則正しい呼吸に裸の胸が上下している。 オレは無意識のうちに、ホッと安堵の吐息を漏らしていた。 寝返りを打ったときに枕に散らばったカノンの髪に、オレはカノンを起こさないようそっと指先だけで触れてみる。しなやかで柔らかな髪が指先に纏わりつく感触が、とても心地よかった。 カノンの髪はカーテンの隙間から細く差し込む太陽の光に照らされて、独特の美しい輝きを放っている。何て言っていいのか上手く言葉が見つからないけど、強いて端的に表するなら神秘的……かな?。 元々カノン……サガもだけど……の髪の色は、かなり微妙な色合いだ。一言で簡単に言っちゃうと青銀色ってやつなんだけど、それを的確に言葉に表せと言われると、かなり難しい。 豪奢なプラチナブロンドに、濃すぎず薄すぎずの透明度の高い蒼がかかってるっていえばいいのかな?。でもそのベースのプラチナ色が強いというわけではなく、だからと言って蒼が強いわけでもない。混在するその両方の色が絶妙に融合しあってるような感じというか、とにかくこんな不思議な雰囲気の髪の色の持ち主はそうそうはいないだろうということは断言できる。少なくともオレは、カノンとサガの兄弟以外は知らない。 手入れらしい手入れは殆どしてないとカノンは言っているけど、それでもカノンの髪は溜息が出てしまうほど綺麗なのだ。 しばらくそうやって指先でカノンの髪を弄って遊んだ後、オレは起こしていた半身を屈めて静かにカノンに身を寄せた。 カノンを起こさないようにしながら、肩口にそっと頭を寄せる。カノンとほぼ同じくらいの長さのオレの毛先がまず最初にカノンの胸元にかかり、続いてオレの頭がほんの微かにカノンの肩口と首筋に触れる。この絶妙な距離感が大切だ。 「んっ……」 オレの髪が当たって擽ったいのか、カノンが微かに呻いた。 でも大丈夫、カノンはまだ目を覚ましたわけではない。今のオレの体勢ではカノンの顔は見えないけど、それでもそれくらい雰囲気で分かるのだ。 微かに身動いたカノンが、ベッドの上に投げ出していた腕を持ち上げたのが、気配でわかった。間もなく、その持ち上げられた腕がオレの首の後ろに回って、くいっと軽くオレの体を引き寄せる。手っ取り早く言えば、カノンがオレを抱き寄せたわけだ。 繰り返して言うが、カノンはまだ目を覚ましていない。 これは寝惚けているというか、完全に無意識下の行動なのである。と言うより、起きてたらカノンはこんなことぜ〜〜〜ったいにしてくれない。と、断言できちゃうのがちょっと悲しいけど。 もし第三者がこれを見たら、カノンのオレに対する秘めたる愛情の現れだと思うと思うけど、これまた残念なことにそういうことでもないのだ。 じゃあ何なんだ?!と言われそうだけど、つまり今のオレはカノンの抱き枕なんだよね。 当然のことながらオレもカノンと深い付き合いをするようになってから気付いたんだけど、カノンは寝ているとき、特に熟睡しているときではなく眠りが比較的浅いときに、枕やら毛布やらを抱え込む癖がある。気付くと毛布とか枕とかを抱え込んで、ガーガー寝てるんだよ。どうせ抱え込むならオレにしてくれりゃいいのに、何故かいつも毛布とか枕なんだ。 本人、その癖を一応自覚してるみたいなんだけど、何しろ寝ている時のことなので直しようがないらしく、相当気恥ずかしく思ってもいるみたいで、このこと言うとスッゲー怒るんだけどね。前に一度、そんなに抱えて寝るのが好きなら抱き枕か抱きぐるみを買ってやるよって言ったら超怒られて、一週間口きいてもらえないなんてこともあったくらいだ。 なのでそれ以来、オレはこのことを口にしないようにしてるけど、しばらくしてオレはカノンのこの癖をオレにとってナイスな方法へ活かす術を思いついた。 それが、今オレがやってる『抱き枕すり替わり作戦』だ。 適度にカノンの眠りが浅くなってるところを見計らって、適度に自分の身を寄せ、密着しない程度に触れ合わせると、カノンの抱っこセンサーが働いて枕や毛布じゃなくオレを抱き枕にしてくれるってワケ。ま、カノンは無意識だし、その無意識下で枕や毛布と同列にされてるってのはどーよ?と思わなくもないけど、その辺に目を瞑ってしまえばオレにとって幸せな時間であることに変わりはないから。 でもこの戦法も両刃の剣で、成功確率は大体50%だったりするんだよね。2回に1回は、抱きこまれずに裏拳とかで張り倒されるから。言うまでもないけどこれも無意識で、寝てるからそんなに力もこもってないけど、それでもヒットすると充分痛いんだよ。何しろ相手は黄金聖闘士だから(いや、オレもだけどさ)、時には叩かれた勢いでベッドから転げ落ちることもあるもんな。 ある意味毎回ギャンブルなんだけど、それでも成功するとこうして幸せな時を過ごせるので、絶対にやめられないんだけどさ。 相変わらず眠ったままのカノンは、いつも枕を抱っこするのと同じようにオレを抱え込むと、オレの頭に頬をくっつけた。 そして後頭部に回された手がやがて小さく動き始めて、オレの髪を撫でてるんだなという感触が伝わってくる。 オレの髪はいわゆる猫っ毛ってやつで、自分で言うのも何だけどスゲー柔らかい。でもって髪の量が多い上に癖毛で緩い天然ウエーブがかかっているので、触感がかなりフカフカで気持ちがいいらしい。 手入れの行き届いた猫に触ってるみたいだとか何とか言ってたのは、ムウだったかアルデバランだったかシュラだったか……?。何か微妙に失礼な言い回しをされてるような気がしないでもないが、一応誰の目から見てもオレの髪はいい線いってるらしいって事は確かだ。オレも自分の髪にはちょっと自信を持っている。何しろ小さいころからサガに、お前の髪は本当にきれいだって褒めてもらってきたから、髪の手入れだけは怠ったことがない。オレの髪はごく単純な濃い青色で、カノンやサガの髪みたいな不思議な色合いの綺麗さはないけど、それでも見た目も感触もバッチリなのは保証する。 そしてカノンも一度たりともはっきりとそう言ってくれたことはないけど、オレの髪の感触が相当好きらしい。何だかんだと事あるごとにオレの髪を弄ってるし、特にこうやって抱き枕にされてるときが一番それを実感できる。多分、オレの髪のフカフカ加減が、気持ちいいんだと思う。 そう言えばカノンはよくその辺の犬や猫を取っ捉まえては、楽しそうに抱っこしたり撫でたりしてるんだけど、もしかしたらフカフカ毛の生えてる生き物自体が好きなのかも知れない。 ってことは、オレは枕だけじゃなくて犬猫とも同列ってことか?………自分で言っててちょっと悲しくなってきたけど、まぁいいか、深く考えるのはやめておこう。 本当は起きてるときにこれをやってくれると超がつくほど嬉しいんだけど、それは半永久的に望めそうもないし、ちょっとセコイけどカノンにばれないようにこれからもこうしてこっそりささやかな幸せを噛み締めさせてもらおうと思う。 あ〜、でもこうしてたらまた眠くなってきちゃったな……起きて数十分しか経ってないってのに、何で眠くなるんだろ?。 でもこのまままたオレが寝ちゃって、今度カノンの方が先に目を覚ますようなことがあったらヤバイことになるし、自分自身の為にも頑張って起きてないと……。 オレは落ちそうになる意識を懸命に繋ぎ止め、閉じそうになる瞼を必死に開いて眠気と闘った。下手に身動くとその振動でカノンが目を覚ますので、とにかくじっと抱き枕になったまま多分15分くらい自分の眠気と壮絶なバトルを繰り広げていたんだけど、そうこうしているうちにオレを抱えているカノンの腕がピクッと動いた。 ん?、この感覚は……。 オレは最後の気力を総動員して眠気を追っ払うと、カノンの方へ全神経を向けた。カノンはオレを抱えたまま、モゾモゾとし始めている。間違いない、間もなくカノンも目を覚ますんだ。 その気配を察したオレは、そぉ〜っとそっとカノンの腕の中から擦り抜けると、同時に光速で枕をその腕の中に突っ込んだ。 起きたとき抱き締めてるのが枕とか毛布じゃなくてオレだったりしたら、照れたカノンが烈火のごとく逆ギレすること間違いなしだからだ。 こうして考えると結構厄介な性格の恋人なのだが、今に始まったことではないのでオレももう慣れたし、逆にそんな素直じゃないところが愛かったりもするんだよね。 デスマスクとかシュラとかアフロとか、あとアイオロスもよくオレのこと『カノンの尻に敷かれてる』ってからかうけど、そうじゃなくて単にオレ達の相性がいいって事なんだとオレは思ってる。確かに喧嘩はよくするし、謝るのも大抵オレの方だけど……さ。 とにかくカノンから身を離して、オレはベッドの上に座った状態でカノンの目が開くのを待った。 程なくしてカノンの睫毛が微かに揺れ、目がゆっくりと開く。カノンは開いた目を2〜3回瞬かせてから、抱きかかえている枕にその目を落とし、僅か一瞬またやっちまったかみたいなバツ悪そうな表情を閃かせた後、億劫そうにベッドから身を起こした。 「おはよう、カノン」 並んで身を起こしたカノンにそう声をかけると、カノンはまだ眠たそうな目を擦りながら、ああと頷いた。そして手にしていた枕をボフッとオレに押し付けると、大欠伸をしながら伸びをした。 「あ〜、腹減ったな」 寝癖でボサボサになった髪を無造作に手櫛で梳いて、カノンはボソリと呟いた。 …………開口一番、これかよ…………。 これもいつものことだけど、ホント色気ねーなぁ。とても恋人と一緒に朝を迎えているとは思えないよ。夜はあんなに色っぽいのに、まるで別人なんだよな。ま、そのギャップがいいのかも知れないけどね。 「もう昼だしな。何か食いに行こうか」 オレが言うとカノンは何とも言えぬ歯切れの悪い返事を返した後に、 「今日何曜日だっけ?」 と、唐突にオレに聞き返してきた。 「え?、木曜日だけど?」 オレが答えると、カノンは少し何かを考えこむように黙った後 「オレ双児宮に帰るわ。今日、サガ休みだから」 そう言うなり、ベッドから降りてさっさと帰り支度を始めた。 あ、そうか、今日はサガ休みなんだ。てことはこの後カノンと一日過ごすのは無理だな。 しゃあない、一人で市内にでも行って飯食うか。それともウチのキッチン、何か残ってたっけかな?。 「お前も来るだろ?。サガに飯作ってもらおうぜ」 オレがこの後の予定を考えていると、服を着終えたカノンがオレの方を振り返って笑顔を作った。 「え?、オレも行っていいの?」 「いつも放っといたってくっついてくるくせに、何を今日に限って遠慮してんだよ?、バカ。今更そんなタマでもねーだろうが」 いやオレだってあんまり兄弟の邪魔しちゃいけないかな〜って、たまには気を使うことだってあるんだよ。バカはねーだろ、バカは。 口が悪いのもいつものことなのでこの程度のことではムッとはしないけど、つい返す言葉を失って黙り込んでたら、カノンはそんなオレを見てプッと吹き出した。 何で笑うんだよ?。 「なに魂抜かれたみたいなボケ面してんだよ?。嫌なんだったらいいぜ、別に。無理強いするつもりはねえから」 「だ、誰が嫌だなんて言ったよ?!」 オレは大慌てで首を左右に振った。 オレが嫌なんて言うワケないじゃんか!。ただサガにあんまり迷惑かけるのも申し訳ないしとか、まぁオレだって色々考えることはあるんだよ。 「だったら早く服着ろよ」 カノンはまだ笑いながら、オレにTシャツを放ってよこした。 これがカノンなりの気遣いだってのはもちろんわかってるけど、どうして何でもかんでも憎まれ口でコーティングするかね?。 でもここでオレがそれを言っちゃうとまた喧嘩になるし、ここは大人しくしておくのが吉ってもんだろう。カノンと付き合い始めてから、オレ、結構大人になったような気がする。 「ったく、ノロノロしてんなよ。早くしろって」 反論を諦めたオレがTシャツに手を通したところで、カノンに早くしろと急かされた。 ったく、今の今までガーガー寝てたのはどこのどいつだ?。それが起きた途端にこれだもん。一事が万事この調子で、本当に勝手なんだからな〜。 と思いつつもいつもカノンのペースに乗せられちゃうのは、やっぱり惚れた者負けってことなんだよな。悔しいけどそれは認めざるを得ないところだった。 「ホラ、さっさと行くぞ」 カノンに急かされ大急ぎでベッドを飛び降り、下着とジーンズを履いたオレがカノンの横に立つと、カノンはそう言いながら拳で軽くオレの頭を小突いた。でも力は入ってないから痛くはない。そしてカノンはまたくすっと小さな笑いを溢し、優しい笑顔をオレに向けてくれた。 そう、結局どこをどうしてどうやってもオレはカノンには絶対に敵わないのだ だってホラ、最後はこの笑顔にコロッとやられちゃうから……。 END ミロの超おノロケ独白です。 胸から胃にかけて擽ったくなっちゃうほどの甘々で、尚且つ終始まったり退屈なものを目指して書いてみましたが、退屈すぎてお疲れになったうえに、胸焼けで「うえっ」てなってらっしゃる方もいらっしゃるかも知れません。申し訳ございませんでした。 ここまで根気強く読んでくださった皆様、本当にどうもありがとうございました!。 口直しには激辛キムチと後味すっきりの蕎麦茶をお勧めいたします(笑)。 |
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