腹が減ったとさっきまでゴネてたヤツが

「なぁ、ミロ、六月ってエスカルゴの旬か?」

と真顔で聞いてきた。

「・・・・・はぁ?!」

いやエスカルゴはオレも好きだけどさ。好きだけどもデンデンムシを食うってコトになると、何か大分違うような気がするんだよな……。

「何でまた急に・・・・」

「ん?、六月だし、梅雨っていえばコレだろ?」

といいつつ、チョキの上にグーを乗せてか たつむりを作っている姿を見て、こいつマジ年上か?とちょっと呆れた。ま、それも今更言うまでもないこっちゃから、オレがこんなこと思っても誰も文句言わないよな……。



友人SからもらったSSです。
ギリシアにはもちろん梅雨はなく、6月というと1年でもっとも過ごしやすい季節と聞いていますが、まぁその辺の矛盾には目を瞑ってください(笑)。
元々は彼女が、某走り屋マンガのキャラで考えたネタをメールで送ってきたのですが、そのときうっかり「これ、ミロカノでもイケるかもよ?」と私に言ってしまったのが運の尽き(笑)。口調をちょっとミロカノ風に私がアレンジして、載っけてしまいました。
しかしそれこそ彼女とは星矢の連載が始まる前からの付き合いですが、こんな風に共同して何か話を作ったのは初めてかも知れません(笑)。
てなワケで、下は私が勝手に話膨らませて続き書いてみたものです。ま、ヒントくれたのも友人Sですが(笑)。


「お前、それ取って食うんじゃねえぞ」

一応、心配してオレが釘差すと、

「誰が食うか、バカ。お前じゃあるまいし」

呆れたようにカノンがそう言い返した。オレだって調理前のかたつむりなんざ食わねーよ!。拾い食いはしちゃダメだって、小さいときサガにしっかり躾けられたんだからな!。

「お前達、一応言っておくが、そのかたつむりは食えないぞ」

言われて振り向くと、そこにはサガが居た。

「エスカルゴって言うのは、ヨーロッパ原産の食用かたつむりのことを言うんだ。かたつむりが全部、エスカルゴ料理に出来るわけではないぞ」

サガは苦笑いしながら、そう言った。え?、そうなの?!、知らなかった。

「それから迂闊にそいつを触るんじゃないぞ。かたつむりはO-157菌保有種だからな」

「O-157?」

カノンが不思議そうにサガに聞き返した、だっせ〜、んなことも知らないでやんの……って、オレも知らないや、何ソレ?。

「O-157と言うのは、病原大腸菌のことだ。つまり、食中毒の元だ。しかもかなり強力で、感染したら死に至ることもあるらしいぞ」

サガはしれっとした顔で言ったが、オレとカノンは思わずかたつむりの側から飛びすさってしまった。食中毒って、あの腹ピーピーになるやつだよな。あと、吐くんだよな。熱も出るんだよな。おまけに死に至ることもあるって、マジかよ?!。

「オレ、しばらくエスカルゴ食うの止める」

「……オレも」

黄金聖闘士だからそう簡単には死にゃしないだろうけど、食中毒なんてなりたくない!。

「別に然るべきところできちんと調理された、食用のものなら大丈夫だぞ」

オレ達の様子を見て、サガは楽しそうに声を立てて笑うと、オレ達の側を離れていった。物知りだよな、サガは。でも世の中、知らなくてもいいこともあると思うんだけど。

オレとカノンはもう一度、病原大腸菌の保有種とやらを見て、やっぱり当分エスカルゴを食うのだけは止めようと心に誓ってから、そそくさとその場を離れた。触らぬかたつむりに祟りなし!。